ヘアカラーってなぜ抜けるの?~原理編~
最終更新 on 2018年6月28日 by Kenji WEC Hair
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ヘアカラーはなぜ色が抜ける?
髪の毛に色を入れる側の美容師にしてみればあまり考えていないかもしれないことですが、髪の毛を染めた人からすれば染めた色の「もち」って結構気になることですよね?
髪の毛を染めたらその色は少しずつ抜けていきます。どんなに気に入っていても抜けてしまうのは悲しいことです。そんな髪の色を少しでも長くもたせるにはどうしたらいいのでしょうか?
久しぶりのカラーレポート、真剣にこの悩みにこたえたいと思います。ちょっと長くなるのでいくつかに分けていきます。
ここでいうヘアカラーとヘアマニキュア、ヘナは原理が異なります。詳しくはこちらをご覧ください
なんで髪の毛が染まるのか?
髪の毛に色を入れたら色は抜けるんです。え、そうなの?って思う人もいれば、そんなの当たり前じゃんと思う人もいると思います。
ヘアカラーは抜けるんです。これ重要です。ではなぜ抜けるのかの前に、なぜ髪が染まるのか?から説明します
ヘアカラーは髪の表面のある「キューティクル」という膜を開いて髪の毛の色素(メラニン)を脱色して隙間を作り、そこに染料をいれてはじめて髪が染まります。
「髪の毛の色素を脱色する」 と 「染料を髪に入れる」
この2つの力のバランスでカラーの色、明るさが決まります。
くわしくは痛まないヘアカラーってあるの?に書いてありますのでそちらをご参考ください。
で、髪の表面のキューティクルを開いて髪の中に入った色素は化学結合によって色素の構造が大きくなって髪の中に定着します。そして表面のキューティクルは時間をかけて少しだけ閉じます…
はい、ここ大切なポイントです。
閉じない髪の表面のキューティクルが色の抜ける原因なの?
この説明だけで一つ講習が出来てしまうくらいの深いので省略しますが、ヘアカラーの抜ける理由の一つはこの開いているキューティクルにあったり、この化学結合した色素にあったりします。
健康な髪はキューティクルが閉じています。髪の中に何かを作用させるにはキューティクルを開く必要があります。パーマにしても、カラーにしても同様です。ここがダメージの原因になっていたりもします。
そして開いたキューティクルは少しずつ閉じていくのですが、完璧に閉じることはありません。その隙間から化学結合した色素がシャンプーなどの度に流出してしまうのです。
カラー後3日程度はカラーが落ちやすい(シャンプーした時にカラーの色がシャンプーについていたりしませんか?)のはキューティクルが開いたままなので色素が流出しやすいのが理由です。
カラー後にキューティクルをすぐ閉じるようにしたらヘアカラーは出にくいのか?
そうなんです!!もしカラー後にキューティクルをしっかり閉じることが出来たら、ヘアカラーのもちは良くなります。ここまでがヘアカラーをする際に美容師側が注意することです。
それと同時に外的要因というのもあります。ヘアカラーをしたあとに日常生活のルーティンによりヘアカラーが抜けていく原因を作っているケースもあるんです。
外的要因で落ちるヘアカラーの色
キューティクルが開いていからカラーが流出するのですが、それど同時に髪に何かのストレス(ちから)を与えるとヘアカラーの色が出やすかったりします。
ヘアカラーが落ちる原因として挙げられるのは
ヘアアイロンの熱
シャンプーの泡に含まれる界面活性剤
スタイリング剤に含まれるアルコール系の揮発性物資
パーマ液
ここらへんが大きな要因でしょうか。ヘアカラーの色素は化学結合した色素です。化学結合した色素がそのまま定着するのは難しいものです。ある色素は熱に非常に弱く、ヘアアイロンなどの熱で150度以上を当てるとすぐに落ちてしまう色素もあります。
シャンプーの中に含まれる界面活性剤の成分ですぐに色を取ってしまうものもあります。安いシャンプーには結構含まれています。ちなみにシリコンはヘアカラーに全く影響がありません。
パリっと固まるスタイリング剤にはアルコール系の物質が入っていてその揮発性のある成分が色素の化学結合を取ってしまう分解してしまうケースもあります。こんなことを書くとじゃあなにもスタイリング出来ないじゃんと言われそうですが、あくまで色を持たせるための手段ですのでご理解ください。
いつもよりも色が早く落ちてしまった場合に上に書いたような原因があるかもしれませんよ。
注)ヘアカラーの色(赤とかアッシュとかベージュとか)によって抜ける要因は異なります。ここら辺は講習で話す内容なので、どの色がどういう理由で抜けるとかは書くことができません。くわしくはライン@でご質問ください。
PHも大切なんです!!
髪に一番いい状態のPHは弱酸性と言われる4.5~5.5になっています。それが髪を染めた後はアルカリ性に寄ってしまいます。8~9.5前後でしょうか。
このアルカリ性に髪が寄ってしまうとキューティクルが開いてしまうのです。キューティクルが開いてしまう=ヘアカラーが出てしまうんですね。ちなみにカラー後に何もしないとPHはアルカリのままです。
このPHを髪に一番いい状態の弱酸性に素早く戻すことがキューティクルを少しでも閉じさせて色を持たせることができます。
ではどうやったらヘアカラーをもたせることができるのかは対策編で詳しく書きます!!
質問等はライン@で受付けております。